
1.太陽暦とは
太陽暦とは、地球が太陽の周りを一周する公転運動すなわち、1年間の太陽の運行による季節の交代する周期を基に作られた暦法です。
最初に発生した暦法はどの民族でも、月の満ち欠けの周期を基にして作られた太陰暦であったと考えられています。しかし、季節の移り変わりは、地球の太陽に対する位置、太陽の高度によるため、とくに農耕生活では種蒔きや収穫の時期を知ることや、その他にも生命を安全に維持するために、季節毎の注意すべき自然現象を予測する必要がありました。そのため、1年間の太陽の運行による季節の移り変わりを把握することが求められるようになりました。
前回の太陰太陽暦は、月の満ち欠けによって日を数える太陰暦に、太陽暦の要素を取り入れて、暦日と季節とを調和させようとする暦法です。朔(新月)から次の朔へ一巡するのにかかる平均時間である1朔望月は29.530589日、地球が太陽の周りを1周する1太陽年は約365.24219日であるため、1朔望月と1太陽年は整数倍になく、これを調節するための閏日や閏月の置き方である置閏法が、それぞれの民族で様々な太陰太陽暦として生み出されました。一方、太陽暦は、太陽の運行のみを基準にした暦法であるため季節とのずれは生じませんが、月の運行とは一致しないという点があります。
日本を含め、現在世界中のほとんどの国々で公式の暦法として採用されているのは、グレゴリオ暦という太陽暦です。1873(明治6)年に、東洋の独立国では日本が最初に採用し、実施されました。そのため、それ以前に日本で用いられていた太陰太陽暦は、旧暦と呼ばれるようになりました。
2.太陽暦の例
前項にも書きましたように、現在世界中のほとんどの国々で採用されている暦法は、グレゴリオ暦という太陽暦です。太陽暦にはエジプト暦、マヤ暦、イラン暦などがありますが、ここでは現行のグレゴリオ暦と、その前のユリウス暦について書きたいと思います。
2.1 ユリウス暦
古代ローマの独裁官ユリウス・カエサルが、それまで使われていたローマ暦を廃して新たに制定した暦です。グレゴリオ暦が採用されるまで、1600年以上にわたってローマとキリスト教世界で広く使われました。
1年を365日4分の1(365.25日)と計算し、平年を365日、4年毎の閏年を366日、西暦が4で割り切れる年を閏年とするものです。1年平均365.25日は、1太陽年の長さ約365.24219日より1年で約0.01日長く、だんだんと季節とずれが生じてきたため改暦が必要となり、1582年にグレゴリオ暦へ改暦されました。
2.2 グレゴリオ暦
1582年にローマ教皇グレゴリオ13世によって、従来のユリウス暦を廃して新たに制定された暦です。ユリウス暦に新たに「西暦が100で割り切れる年は閏年にしない」「西暦が400で割り切れる年は閏年とする」というルールが加わりました。これは400年で97回の閏年があることとなり、365日が303回+366日が97回、これを400で割ると、1年の長さは365.2425日となり、ユリウス暦に比べて1太陽年(約365.24219日)との差は0.0003日まで縮まりました。3000年後に1日弱の差が生じることとなります。
グレゴリオ暦は簡便で精度の高いものとされていますが、
「各月が28日~31日までと日数が一定でない」「年の前半後半、四季などの日数が一致しない」「毎年曜日が移動する」といった点で、改善の余地があるそうです。